東証システム障害の原因、自動バックアップは5年間オフのままに。

東京証券取引所は10月19日、終日売買停止の原因になったシステム障害の詳細を発表しました。富士通が作成した製品マニュアルに不備があり、バックアップ機への自動切り替えが5年間オフになっていたことが分かったとのことです。

製品マニュアルに不備、自動切り替えのテストも行われていない。

システム障害は10月1日に発生。富士通製の株式売買システム「arrowhead」(アローヘッド)の共有ディスク装置(NAS)の1号機で異常が発生したが、本来であれば自動で行われる2号機への切り替えが何らかの理由で作動しなかったと、東証は当初説明していました。

これについて、東証は「(富士通側の)マニュアルの不備により正しい仕様が把握できなかった」と釈明していました。システム構築時に富士通側と検討した際、マニュアルには自動切り替えが動作すると記載されていたことから、実際の稼働テストを行わなかったとのことです。

マニュアルに不備があったのは、機器を製造した米国企業の仕様変更が原因だとのことです。。2010年1月に稼働を始めた初代アローヘッドでは自動切り替えが「オフ」でも、トラブルを検知すると15秒後に予備に切り替わる仕組みでしたが、2015年9月に導入した2代目からは「オフ」時にはバックアップが作動しない方式に変更されていました。

これを富士通が把握せず、初期設定を「オフ」にして東証に納入し、マニュアルにも反映されていなかったため、東証も気付かないままシステムを運用していたとのことです。システム障害を受け、10月5日から設定を変更しました。

また、東証は「市場開設者としての責任は東証にある」とし、富士通に損害賠償を請求しない方針を改めて示しました。

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