NTT東日本と情報処理推進機構(IPA)は2020年4月21日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する政府の緊急事態宣言や在宅勤務への社会的要請を受け、国内企業の感染拡大防止と事業継続を支援する「シン・テレワークシステム」を無償開放しました。
このシステムは「Raspberry Pi 」と呼ばれる非常に安価なシングルボードコンピュータで構築されており、PCのケースやLANケーブルなどを含めても合計65万円程で構築されている点が非常に注目されている理由の一つです。
現在は無償提供中ですが、仮に有料提供が始まった場合でもかかるコスト(電気代含め)は1ユーザー1カ月あたり2~5円程度と試算されていますので、非常に安価に提供されるのではないかと期待されています。
どのようなシステムなのか?
利用したい企業・個人が用意しなければいけないのは、①主に会社側に置いているPC(Windows)、②従業員が自宅などで使っているPC(Windows)、③このサービスを利用するための専用ソフトウェアと④インターネット回線の4つが必要となります。
※MacでもBootCampという標準機能でWindowsOSをセットアップすることで利用可能ですが、BootCampの手法につきましては別記事にてご紹介致します。
残念ながら現時点ではmacOSには対応しておりませんが、WindowsについてはWindows XP~Windows 10、またはWindows Server 2003~Windows 2019と幅広くカバーしており、動作保証はありませんが一部の環境ではWindows 95/98やWindows NT/2000などでも使える場合があるとのことです。
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使用感やセキュリティは大丈夫なのか?
セキュリティ対策について
このようなリモートデスクトップシステムで問題になるのが、IDとパスワードの流出ですが、単純なパスワードのみによるログインの他に、ユーザー名とパスワードの組み合わせによるログイン、Active Directoryが稼働している外部の認証サーバーを利用したログインも可能。PKI認証などの証明書を利用したログインも可能で、たとえばマイナンバーカードとPC用カードリーダーを使ってログイン管理を行うこともできるので、万が一の場合に備えて2段階認証を設定することも可能です。
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使用感について
今回、数時間ほど続けて利用してみたところでは、急激なレスポンスの低下や(社内PCがWindows 10 Homeの場合の)画質の大幅な劣化も見られず、問題無く利用することができました。現時点では、約3万7,000台のPCでサーバーソフトが稼働している中でも、問題なく動作し続けていたので、インフラ的にはかなり余裕があるように感じられます。
これが倍以上の利用者10万人を超えてきたときにどうなるかは分かりませんが、社内でしかアクセス出来ないデータが業務に必要というだけでテレワークを諦めたり、出社したりするよりは、シン・テレワークシステムを利用するというのも一つの手段と考えられます。
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まとめ
無償解放中のシステムとはいえ、NTT東日本の天才技術者と名高い登大遊氏と山口肇征氏が中心となって開発したシステムのため、企業として業務利用する場合や、個人事業主でテレワークを行うためのシステムとして最低限の機能が備わっております。そのため、どんな人でも使用可能なテレワークシステムといえます。