容量無制限でデータ通信ができる「クラウドSIM」を活用したのモバイルWi-Fiルーターが人気を集めている。昨今のコロナウイルスの影響により、テレワーク(遠隔勤務)を進める動きが活発になる中で、2020年に入ってからは利用している人が非常に増えていると思います。
光ファイバーやCATVといった固定インターネット回線を何らかの理由で引くことができない人や引っ越し直後から工事無しで利用出来る容量無制限なモバイルWi-Fiルーターは非常に魅力的な商品になります。
しかし、ここ最近ではクラウドSIMを活用したモバイルWi-Fiルに通信障害やサービスの低下が起きていることを知っている人も多いかと思います。この原因を色々と自分で調べたので、個人的な考察を行って行きたいと思います。
※あくまで個人的な見解ですので絶対に合っている保証はありませんが、有識者の意見を総合して記載しておりますので大きな差は無いと考えております。
通信障害が起こっているモバイルWi-Fi
クラウドSIMを使っているサービスで有名なのがグッド・ラックが展開する「どんなときもWiFi」とMVNOのエックスモバイルが提供する「限界突破Wi-Fi」だと思います。
「どんなときもWiFi」は3月中旬頃から、通信速度が大幅に低下した上に、4月3日には、サービスの提供を中止している。また、「限界突破Wi-Fi」は4月1日からは、使い放題を撤廃している。1日10GB以上の利用で速度が128Kbpsに落ちる制限という変更を行ったうえで、既存のユーザーに対しては返金や原状復帰費用の負担などの対応を打ち出しています。
中国のuCloudlinkが提供する「クラウドSIM」が原因??
どちらのWi-Fiルーターにも、中国のuCloudlink社が提供する「クラウドSIM」が採用されているため、ネット上ではここに原因があるのではとの意見も非常に多く見受けられたが、uCloudlinkの日本法人は、4月3日に、このような見方を否定する声明を発表している。この先色々と調べていくとトラブルの原因は別のところにありそうなことが分かって来ました。
※詳細な声明文は下記のこちらから
クラウドSIMとは。
まず、この障害が起こっているMVNOのWi-Fiルーターに採用されていたクラウドSIMとはどのような技術でしょうか。この技術は、uCloudlinkが独自に開発したものです。
ネット経由で、端末内に埋め込まれたクラウドSIMに、さまざまな通信事業者の情報を書き込めるのが大きな特徴です。通信事業者の業界団体GSMAによって標準化されているeSIMに近い技術ですが、あくまで独自仕様。クラウドSIMに書き込まれる情報は、「SIMバンク」と呼ばれるサーバ上に刺さったSIMカードのもので、物理的なSIMカードが必要な点も、eSIMとは違っています。
無制限プランをどのように実現していたのか?
どんなときもWiFiや限界突破Wi-FiもクラウドSIMを採用していますが、これはuCloudlinkが直接運営しているわけではなく、グッド・ラックとエックスモバイルが、SIMバンクに挿すための物理的なSIMカードを調達し、料金設定をした上で、ユーザーに提供します。このような仕組みの中で、容量無制限のサービスを提供する方法は、主に2つあると考えられます。
①大手キャリアなどから容量無制限のSIMカードを調達する。再販用のSIMカードにこうしたプランがあれば、そのままそれをSIMバンクに挿し、ユーザーに提供すれば無制限プランを実現出来ます。
②容量制限があるSIMカードを複数枚用意し、サーバ上で切り替えていく方法です。この場合では、容量制限自体は残るものの、事業者側が費用を負担することで、疑似的に無制限を実現出来ます。
通信障害の原因とは?
では、なぜ容量無制限を打ち出していたWi-Fiルーターの通信速度が突如低下したり、サービスの提供中止や変更を打ち出すことになったのでしょうか。どんなときもWiFiを運営するグッド・ラックやエックスモバイルも、あてにしていたSIMカードが予定通り調達できなくなってしまったことが大きな原因だと各社は報じていました。
どのキャリアのSIMカードだったのか?
複数のニュースソースを総合すると、そのSIMカードとは、ソフトバンクのものだったようです。ソフトバンクは、法人向けのビジネスとして、MVNOに対して再販可能なSIMカードを販売しています。ただ、ソフトバンクが提供しているのは、あくまで大容量プランであり、無制限にデータ通信ができるものではない点には注意が必要です。
クラウドSIMの仕組み上、ソフトバンク以外のMNO、MVNOからもSIMカードの供給を受け、それらを組み合わせることで無制限に見せかけることは出来ます。ただ、条件のいいソフトバンクのSIMカードに頼っていたのも事実であり、そのソフトバンクのSIMカードを調達できなくなったことが、トラブルの引き金になったと考えられています。
まとめ
4月から新型コロナウイルスの感染拡大している中で、テレワークや遠隔学習が急増しています。工事に時間と費用が掛かってしまう固定回線の代替になりうる大容量のデータ通信サービスは、需要が急拡大しています。
無線は帯域が有限のため、大手キャリア(au、docomo、Softbank)でも無制限プランの使用には非常に高額な費用が掛かります。その中でクラウドSIMを使ったモバイルWi-Fiルーターがデータ通信無制限プランを安価で提供出来ていたのは理由がありました。
今後、モバイルWi-Fiの契約をする際には、通信障害により通信が出来なくなるなどの大きなリスク考えられます。そのため、口コミ等も調べてからの契約は必須になっていくでしょう。
「データ通信容量無制限のモバイルWi-Fiの障害発生の原因について(考察)」への1件のフィードバック